ましきクリニック耳鼻咽喉科

のど・口腔の病気

甲状腺疾患

甲状腺とは

甲状腺は頸部正中、のど仏の下で気管に接した重さ約20g、

大きさが4~5cm程度のハート型の臓器です。

女性の方が男性より大きく高い位置にあり外からはほとんどわかりませんが、

腫れてくると首が太くなったように感じます。

食べ物に含まれる「ヨウ素」を材料にして甲状腺ホルモンを

血中に分泌しており体の代謝や成長などを調節する作用があります。

 

 

甲状腺ホルモンとは

甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があります。

甲状腺ホルモンは、脳にある下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)に

よって調節されています。身体の「新陳代謝」を調節し脈拍や体温、自律神経を制御、

エネルギー消費を一定に保っています。

子どもの成長や発達、大人の脳の働きの維持にも関係しています。

 

 

ホルモン異常による症状

甲状腺の働きが低下して血中の甲状腺ホルモンが不足した時に現れる症状を

「甲状腺機能低下症」といいます。疲れやすく寒がりになり、皮膚は乾燥、声がれ、

便秘気味、顔のむくみ、体重増加、動作は遅く物忘れが多くなり一日中眠くなったりします。

 

一方、血中の甲状腺ホルモンが過剰になる場合を「甲状腺機能亢進症」といいます。

暑がりで汗かき、動悸や息切れ、手指の震え、食欲は旺盛なのに痩せてきます。

イライラし筋力が低下し立てなくなることもあります。

 

 

甲状腺の検査

超音波検査(エコー)

腫れの程度やしこりの大きさや性状を調べる重要な検査です。

腫瘍が疑われる場合には、注射器で細胞を採取して調べます(吸引穿刺細胞診)。

良性でのう胞性疾患の場合は何度か吸引除去することで完治する場合もあります。

 

血液検査

甲状腺ホルモンと、それを制御しているTSHというホルモンを測ります。

病気の原因となっている「甲状腺に対する抗体」の量も調べます。

 

 

甲状腺が腫れる病気

甲状腺疾患では殆どの場合甲状腺が腫れてきますが

全体が腫れるタイプとその一部がしこりのように腫れるタイプがあります。

大きくなれば鏡を見て唾液を飲み込むと、のど仏の下でしこりが上下するのがわかるようになります。

最近では、健診でエコー検査を受けたときに、偶然見つかるケースが増加しています。

 

1.甲状腺腫瘍(しこり)

甲状腺腫瘍は、ほとんどの場合良性ですが、まれに悪性のもの(癌)があります。

甲状腺癌の約90%が甲状腺乳頭癌であり比較的予後良好とされています。

基本治療は手術で、化学療法や放射線療法は一部の腫瘍以外には効果がありません。

 

良性のものとしては、甲状腺の左右どちらか一方にしこりがひとつだけできる腺腫、

大小さまざまなしこりがいくつかできる腺腫様甲状腺腫があります。

これらはごくまれに甲状腺ホルモンを過剰分泌し機能亢進の症状をあらわすことがあります。

いずれも大きくならなければ手術の必要はありませんが、時に「のう胞」に変化することがあります。

これは内容物が液状になって溜まったものです。液体は茶色から、ゼリー状のものなど様々で

可能であれば注射器で穿刺吸引し縮小を試みます。

再び溜まってくることもありますが、繰り返し吸引しているうちに完治することもあります。

 

2. 慢性甲状腺炎(橋本病)

甲状腺に慢性炎症が起こり甲状腺が腫れてくる疾患です。

女性に多く、男性の2倍以上にみられます。

「甲状腺に対する抗体」が出来ることが原因で、進行すると甲状腺機能低下症(10人に1人くらい)となり、

むくみ、寒がり、便秘、もの忘れなどの症状が出てきます。

病気自体は治りませんが、機能低下症が出れば甲状腺ホルモン剤を使います。

元々体の中の甲状腺ホルモンと同じものなので適量を内服している限り問題ありません。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料ですが、摂取しすぎると甲状腺ホルモンが産生されにくくなるため、

ヨード系のうがい薬や、ヨウ素を大量に含む昆布の常用は控えねばなりません。

 

3.  バセドウ病

甲状腺機能が亢進し甲状腺ホルモンが過剰になる病気のひとつで原因は不明です。

本来ないはずの「甲状腺に対する抗体」が出現して甲状腺が刺激され腫れてきます。

症状は 動悸、手のふるえ、発汗、倦怠感、食欲があるのに体重減少

人によっては眼球突出などがあらわれます。

治療は抗甲状腺剤(メルカゾールなど)で治療を始め、経過がよければ徐々に減らしていきますが

甲状腺内に腫瘍が合併している時などは手術を行うこともあります。

また、薬の副作用が強い、薬でコントロールできない時などには、

アイソトープ治療(甲状腺I-131内用)という選択肢もあります。

 

4.  無痛性甲状腺炎

甲状腺細胞の破壊によってホルモンが血液中に出て過剰状態になり

バセドウ病のような甲状腺機能亢進症に似た症状があらわれます。

ただ炎症は短期間(1ヶ月くらい)で治まりますので炎症が落ち着くのを待ちます

。ホルモン過剰状態のあとは、一時的にホルモン欠乏状態になりますが

徐々に甲状腺機能は回復し、通常半年以内に治癒します。

慢性甲状腺炎(橋本病)やバセドウ病治療後の方に起こりやすく

出産後にも起こるため産後甲状腺炎とも呼ばれます。

 

5.  亜急性甲状腺炎

甲状腺へのウイルス感染が原因と言われており、発熱や痛みに加えて、

動悸、手のふるえ、汗かき、倦怠感などの甲状腺ホルモン過剰症状があらわれます。

解熱鎮痛剤で経過観察しますが炎症は長引くこともあり

痛みや発熱症状が強い場合は、ステロイド剤が著効します。