私たちの体にはバランスを保つシステムが備わっています。
耳、眼、筋肉などからの情報が脳に送られて小脳や脳幹で適切に統合され
体のバランスをうまく保っていますがそれらの情報に
ズレや異常が生じるとめまいが起こります。
特に内耳の三半規管と前庭は体のバランスをとる上で重要な器官であり
めまい発作の原因の大半を占めます。
めまいが起きても慌てずに次のことを心がけましょう。
・安静を保ち気持ちを落ち着ける
・頓服薬を飲む
・頭痛が激しい、手足がしびれる、舌がもつれて話せない、
などの症状がみられる場合は救急病院へ
ストレス・過労・風邪など、めまいを誘発する原因を取り除くことが重要です。
治療は平衡機能を改善させるために、薬とリハビリでの治療を行います。
抗めまい薬・循環改善薬、漢方薬などを使って、脳や内耳の血流を
増やすことでめまいを改善させます。
重症例には浸透圧利尿薬やステロイド剤の点滴を連日行うこともあります。
めまい発作の約40%を占め耳が原因のめまいの中で最も多い疾患です。
内耳の前庭にある耳石(じせき)がはがれて半規管の中に入り込むことによって
回転性めまいが起こり、嘔気を伴う場合もあります。
起床時や寝返りなど頭の位置を動かすことでめまいが生じますが、
めまいを起こす頭位が決まっているのが特徴です。
めまい頭位をとると通常数分以内でおさまります。
診断には眼振(眼球の動き)検査が重要で
ある程度病変部位を同定することができます。
前述の内服薬でめまい発作を抑えますが、めまい頭位を繰り返すことで
だんだん慣れが生じめまいが起きなくなりますので
積極的にめまい頭位をとるように指導します。
また原因となる半規管内の耳石を、影響しない位置に
追い出す理学療法を行うこともあります。
「内リンパ水腫」と呼ばれる内耳のむくみにより
回転性めまい・難聴・耳鳴りなどを反復する病気です。
めまいが起これば「メニエール病」と診断されがちですが
めまい患者の10%ほどで意外と多くありません。
めまい発作が一度だけでは「突発性難聴」と区別できませんが
繰り返し起こることでメニエール病と診断されます。
めまい発作が大抵は数時間持続し、聴力が低下する場合があります。
聴力は必ずしも元に戻るとは限らず、めまい発作を繰り返していくうちに
徐々に聴力が低下していく例もあります。
むくみを起こしている耳と反対側の聴力に影響を及ぼすこともあります。
抗めまい薬や吐き気止めを使って症状を抑え、浸透圧利尿薬を併用します。
浸透圧利尿薬は内耳のむくみを取り除きめまい症状を改善します。
重症例ではこれらを点滴や注射で連日投与しますが、効果がみられない場合は
過剰な内リンパを排出する手術を行うこともあります。