耳の病気 良性発作性頭位めまい症

症状と原因

症状

めまい発作の約40%を占め、耳が原因のめまいでもっとも多い疾患です。頭を特定の方向に動かしたときに、ぐるぐると回るようなめまいが数十秒続き、その後めまいが治まるのが特徴。めまいを起こす頭位は決まっていて、嘔気を伴う場合もあります。

原因

人間のバランス感覚をつかさどる三半規管の中に、「耳石(じせき)」という異物が入り込むことが大きな原因です。異物が入ったことで三半規管内から得られる情報に乱れが生じ、「見た風景と、頭が理解する動きが異なる」といった状況に陥ります。これがめまいの原因です。

耳石が残っている間は、めまいが完全に良くなることはないため、早めに取り除く必要があります。眼振(眼球の動き)をすることで、ある程度病変部位を同定することができます。

当院での主な治療法

めまいはストレスや家老、風邪などで起こることもあり、まずはめまいを誘発する原因を取り除くことを優先します。

薬学療法

抗めまい薬・循環改善薬、漢方薬などを使って、脳や内耳の血流を増やすことでめまいを改善させます。重症例には浸透圧利尿薬やステロイド剤の点滴を連日行うこともあります。

理学療法

原因となる半規管内の耳石を、影響しない位置に移動し治療します。病変部位を検査で確認したうえで、寝たまま首を動かしたり、座って首を動かしたりする治療を行い自宅では「めまい体操」を行ってもらいます。「体操なんかで治るの?」と感じられる方も多いことと思いますが、実際8割程度の患者さまのめまいが改善したという報告もあります。

使用する主な機器

  • オージオメータ

    どれだけの音が聞こえているかを検査する機器です。音の大きさ、周波数などにより聞こえる範囲の音域を確かめ、治療方法の指針とします。

  • フレンツェル眼鏡

    内部に小さな電球がついた眼鏡。急激に頭を動かした時の眼の動きなどを観察し、めまいの発生状況および病変部位を確かめます。